① CPAPで治療を行うと無呼吸・低呼吸、いびきの改善等(生活の質)の向上に役立ちます。
CPAPをつけて寝ると翌日頭がすっきりして仕事にとても集中できると言われる方もおられます。これはCPAP療法で無呼吸、低呼吸が改善した結果熟睡できるようになるためと思われます。熟睡する事で日中の眠気などが改善され、またいびきが改善されることで。同じお部屋で寝ているご家族の方の睡眠の質も改善し、家族全体の生活の質の改善が期待できます。
② CPAPで治療を行うと生活習慣病の予防・改善に役立ちます
SASが原因の糖尿病であればSASを治療することでインスリンの抵抗性の改善が期待でき糖尿病をコントロールをすることが可能です。
■高血圧症の改善
SAS(睡眠時無呼吸症候群)と高血圧の関係は確立されており、高血圧の発症率は軽症で約2倍です。また降圧薬が効きにくい「治療抵抗性高血圧」という病態があります。
利尿剤を含む3剤以上の降圧薬を適切に用いてもなお降圧目標にまで下がらない場合が該当します。
治療抵抗性高血圧症例の約80%以上にSASが合併していたとの報告もあります。SASの治療により血圧の状態が良くなりお薬を減量できたりすることもあります。
糖尿病の改善
SASが原因の糖尿病であればSASを治療することでインスリンの抵抗性の改善が期待でき糖尿病をコントロールすることが可能です。
SAS(睡眠時無呼吸症候群)の患者さんは単に肥満している方が多いから糖尿病を合併しているということではなく、無呼吸による低酸素状態や脳の覚醒によりインスリンが効きにくくなることにより糖尿病を引き起こすことがわかっていて、2型糖尿病の発症リスクを高め糖尿病の発症リスクが4倍に。さらに重症度も関係していると考えられています。
脂質異常症(メタボリックシンドローム)の改善
SAS(睡眠時無呼吸症候群)はメタボリックシンドロームを合併しやすく、その病態を悪化させる原因になります。
またメタボリックシンドロームはSASになりやすく、メタボリックシンドロームに伴う肥満はSASの程度を重症化させる原因になります。両者は生活習慣の悪循環を作る関係にあると言えます。SASの治療により血圧の状態が良くなりお薬を減量できたりすることもあります。
③ CPAPで治療を行うと虚血性疾患(心筋梗塞や脳梗塞)の予防・改善に役立ちます
SAS(睡眠時無呼吸症候群)では、睡眠中に繰り返される無呼吸発作に伴う低酸素血症、高炭酸ガス血症、交感神経活性亢進などが、高血圧や糖代謝障害などの冠動脈硬化を促進させる病態を悪化させ、虚血性心疾患の発症につながるものと考えられ、また睡眠時無呼吸症候群では睡眠中に血管障害の危険因子であるフィブリノーゲンが増加し、血液の粘性が亢進していてドロドロ状態になることなども虚血性心疾患の発症に関与するものと考えられています。このような事からSASの患者さんの脳卒中、心筋梗塞などを引き起こす危険性は約3〜4倍高くなり、特に、AHI30以上の重症例では心血管系疾患発症の危険性が約5倍にもなります。しかし、CPAP治療にて、健常人と同等まで死亡率を低下させることが明らかになっています。