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新型コロナウイルス感染症の治療

原則、ご自宅での療養・外来治療となります。

当院の発熱外来で抗原検査・PCR検査にて陽性となった場合は、令和5年5月8日より5類移行以降は、ご自宅での療養・治療が中心となります。入院が必要な場合、あゆみクリニックは、通常は、感染症病床を持っておりませんので、入院治療ができず行政との連携にてご自宅での療養になった軽症の方の投薬や安否確認などの療養支援治療をしますが、万が一病床が不足し在宅療養者が多数発生した状況下では、中等症の方も可能な限り入院が出来るまでの間できる限り治療を対応いたします。
ここでは、万が一に在宅で療養をする場合の当院の治療手順を記載します。

コロナウイルス感染症の投薬治療について
現在、厚生労働省の承認を受けている新型コロナウイルス治療薬には「抗炎症薬」「抗ウイルス薬」「中和抗体薬」があり、このうち重症化リスク因子のある方等の重症化を防ぐ目的で投与され、「軽症」の方を対象に含むのは「抗ウイルス薬」と「中和抗体薬」となっています。また、令和4年11月には重症化リスク因子のない軽症から中等症1の方を投与対象とする「抗ウイルス薬(ゾコーバ)」も新たに承認されました。
新型コロナ感染症の飲み薬には、「ラゲブリオ(モルヌピラビル)」と「パキロビッドパック(ニルマトレルビル・リトナビル)」があります。
抗ウイルス薬は細胞内に侵入した新型コロナウイルスの増殖を阻害する作用がありますが、重症度の高い患者、発症から6日目以降に投与した患者に対する有効性は確立していません。
投与対象の患者さんは、軽症から中等症1の方のうち重篤な心疾患や慢性呼吸器疾患、肥満等の新型コロナ感染症の重症化リスク因子があり、発症5日以内の患者さんに他のお薬の使用状況や基礎疾患を妊娠の有無を考慮して投与いたします。

新型コロナ感染症の重症化度による
ステージ別投薬治療フロー

発熱外来にて使用する薬剤について

厚生労働省の特例承認を受けている新型コロナ感染症の飲み薬には、重症化リスク因子を持つ方が服用する「ラゲブリオ(モルヌピラビル)」と「パキロビッドパック(ニルマトレルビル・リトナビル)」と重症化危険因子を持たない方が服用するゾコーバ(エンシトレルビルフマル酸)の3種のお薬があります。ともに抗ウイルス薬で細胞内に侵入した新型コロナウイルスの増殖をする時に働きを邪魔する物質が入っていて新型コロナウイルスが増殖のためにRNAを複製する際にウイルス自身のRNAにエラーを引き起こさせて新型コロナウイルスの増殖を防ぎ増殖を阻害する作用があります。パキロビットパックとラゲブリオの投与対象の方は、軽症から中等症1の方のうち重篤な心疾患や慢性呼吸器疾患、肥満等の新型コロナ感染症の下記の※重症化リスク因子がある等、医師が必要と判断した方とされています。

服薬条件の重症化リスクについて

  • 61歳以上
  • 活動性の癌(免疫抑制又は高い死亡率を伴わない癌は除く)
  • 慢性腎臓病
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 肥満(BMI 30kg/m2以上)
  • 重篤な心疾患(心不全、冠動脈疾患又は心筋症)
  • 糖尿病
  • ダウン症
  • 脳神経疾患(多発性硬化症、ハンチントン病、重症筋無力症等)
  • コントロール不良の HIV 感染症及び AIDS#
  • 肝硬変等の重度の肝臓疾患
  • 臓器移植、骨髄移植、幹細胞移植後
これら抗ウイルス薬の最大のメリットは、飲み薬である点です。飲み薬だと、ご自宅で患者さん自身が1日2回、5日間飲んで簡単に服薬することができるという面では抗体カクテル療法や上記の点滴による投薬の抗ウイルス薬であるレムデシビルより、同時に多くの患者さんに簡単に投薬が出来るので昨今の新型コロナ感染症の感染爆発と言える状況を考えると社会的メリットが大きいお薬です。一方、危険因子のない軽症者の方の飲み薬には、抗ウイルス薬の「ゾコーバ」があります。 投与対象は重症化リスク因子のない軽症から中等症1の方のうち高熱・強い咳症状や強い喉の痛みなどの症状があり、投薬が必要と判断した方とされ、症状が現れてから3日目までに投与を開始された方に有効性が推定されています。なお、重症度の高い方への有効性は確立していないほか、重症化リスク因子のある軽症の方に対する重症化抑制効果は裏付けられていません。
  • 抗ウイルス薬は令和5年9月末まで公費扱いの予定ですので自己負担は発生しません。(解熱剤・鎮咳薬は保険診療(自己負担あり)
  • 副作用等で中止する場合には、医師、看護師又は薬剤師に相談してください。
  • 妊娠している女性、妊娠している可能性のある女性、又は妊娠する可能性のある女性
  • この薬は、妊娠中に服用することで、胎児奇形を起こす可能性 があります。この薬の有効成分であるモルヌピラビルを投与した動物の胎児で有害な影響がみられました。
  • 妊娠している女性又は妊娠している可能性のある女性での使用はできません。
  • 妊娠する可能性のある女性は、この薬を服用中及び服用終了後4日間は適切な避妊を行ってください。
  • この薬を服用中又は服用終了後4日間までに妊娠した、あるいは妊娠していることがわかった場合は、すぐにご相談ください。
(参考PDFファイル)
  • レムデシビル【ベクルリー】
    この薬剤は、ベクルリーとも呼ばれCOVID-19患者に対して、世界ではじめて有効性と安全性が示されたウイルス薬で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対し、ウイルスの複製を作らせないようにして増殖させない様にする薬です。
    細胞内に侵入したSARS-CoV-2は、RNA依存性RNAポリメラーゼという物質によって複製され、増殖します。ベクルリーは、RdRpによるRNA複製過程を阻害することでウイルス増殖を抑制します。
    中等症患者さんにおいて、ベクルリーの5日間投与は標準療法と比較して臨床症状65%改善したとういう結果が得られています。
    投与の方法としては、中等症Ⅰの患者さんに対し通常レムデシビルとして、1日1回1時間程点滴静注します。目安として、5日目まで投与し、症状の改善が認められない場合には10日目まで投与します。
  • デキサメトゾン(ステロイド)

    無症状の軽症を過ぎ発症初期のウイルス増殖期にはベクルリー等の抗ウイルス薬、そして発症から7〜10日以降の過剰な炎症反応が起こる時期には抗炎症薬が有効です。抗炎症薬としてはデキサメタゾンが国内では新型コロナに対し使用可能になっており、主に中等症Ⅰ以上の患者さんで酸素吸入が必要な呼吸不全が見られ、検査の結果、炎症反応が強い患者さんに点滴または服薬で投薬します。

    (処方例 デキサメタゾン 6 mg 分1 10日間または 症状軽快まで)
    糖尿病がある場合には,投与中の高血糖に留意し,必要時に血糖測定を行えること。
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