風邪、急性気管支炎、肺炎の違い
風邪、気管支炎、肺炎は、どれも細菌やウイルスなどの感染によって呼吸器が炎症を起こします。空気中の細菌やウイルスなどの多くはのどや鼻の粘膜から侵入し、感染して炎症を引き起こします。これによって鼻水やくしゃみ、発熱などが起こるのが、いわゆる風邪です。これらの細菌やウイルスが気管支まで入って炎症を起こすと気管支炎を発症し、さらに肺まで到達してしまうと、肺そのものが炎症を起こす肺炎になるのです。肺炎とかぜ、気管支炎は症状が似ていますが違います。肺炎では、細菌やウイルスなどの病原体が、酸素と二酸化炭素のガスの交換を行う肺胞に感染して炎症を起こします。また、急性気管支炎では、気道の下部に炎症が起こる下気道炎になります。
風邪はウイルスや菌などによる感染で発症するのに対して、気管支炎ではウイルスや菌などの感染だけでなく、ストレスといった環境的な要因やアレルギーなどでも起こり、多種の病気です。
肺炎の様に肺胞に障害が生じると、息切れ、黄色〜緑色や鉄さび色のたん、38度以上の高熱などの症状が長く続き、かぜよりも症状が重くなります。また、肺炎は風邪をこじらせることによるものだけでなく、突然的に発症することもあります。マイコプラズマ肺炎やレジオネラ肺炎といった感染力の高い菌による肺炎や、RSウイルスやアデノウイルス、麻しんウイルスなどのウイルスの感染による肺炎もあります。
| 症状 | 発熱 | 痰の色 |
風邪(かぜ) | | 38℃まで | 白黄色〜淡黄色 |
急性気管支炎 | 数週間から数カ月の間咳や痰などの症状が続く | 急性気管支炎は風症状に伴い38°Cまで | 白黄色〜淡黄色+緑色 |
肺炎 | 胸にするどい痛み- 悪寒
- 息切れ
- せき
- 全身のだるさ
- 顔やくちびるが紫色
| 38℃以上の高熱 | 黄色〜緑色や鉄さび色 |
【検査・治療】
これらの病気では、肺炎などとの鑑別が大切です。特に赤ちゃんやお年寄りは肺炎にかかることもありますので、症状をしっかり見極めることが必要です。この肺炎の否定を行うためには聴診や胸部レントゲン検査を行います。他にインフルエンザや百日咳が疑われた場合は、それらを特定するために個別の簡易検査を行い治療を行います。
肝心の投薬ですが、年齢・基礎疾患の有無・咳の強さ・胸部所見の程度をもとに、細菌性の肺炎なのか、それ以外の肺炎(非定形肺炎)かを大きく推定・鑑別し、それぞれに見合った抗生物質を投与します。血液データや胸部レントゲン写真も病気の進展度の指標にします。痰の培養検査で原因菌が特定できた場合には、その菌に最も有効と考えられる抗生物質に変更することもあります。
インフルエンザとは?
インフルエンザウィルスに感染して引き起こされる疾患で、風邪症候群の1つです。
通常の風邪と異なり、40度近くの高熱や喉の痛み、咳、そして筋肉痛や全身倦怠感などの重い症状が出て来ます。
感染して2日前後に突発的に40度近くの高熱が出ます。そして、全身倦怠感、悪寒、筋肉痛、関節痛、咳、鼻水、のどの痛みなど…風邪症候群で確認される諸症状の多くが同時に発生します。時には胃腸へも影響が及び、その際には腹痛とともに下痢が繰り返されます。そのような苦しい状態のため、食欲が減退し、また下痢により水分も失われるため、体力の消耗が激しくなります。
特に糖尿病や呼吸器等疾患を持つ患者さんなどでは、インフルエンザにかかると容易に重症化し、肺炎等の重篤な状態につながって行きやすいため、入院や死亡の危険がより高くなります。
また、幼児を中心としたインフルエンザの症状でインフルエンザ脳症という病状があります。
具体的には意識障害,けいれん,異常言動・行動等の症状を起こします。毎年違いがありますが、50〜200人のインフルエンザ脳症が報告されており、その約10〜25%が死亡しており、死亡しなかった場合でも、知能障害やてんかん等の重大な神経症状等の後遺症を残す事例があり、インフルエンザには、特に注意が必要です。
※乳幼児の治療は様々な処置・検査が必要です。平日は17時までに来院協力をお願いします。17時を過ぎると十分な医療をご提供できない場合がございます。
【インフルエンザの治療】
インフルエンザの治療は、「一般療法」と「薬物療法」に分けられます。一般療法は生活療法とも呼ばれ、インフルエンザ治療の基本です。安静にして睡眠を十分にとること、また、高熱によって脱水症状が起こらないように、水分をしっかり補給することが大切です。
一方、薬物療法には、「ノイラミニダーゼ阻害薬」と呼ばれる抗インフルエンザウイルス薬を使う「原因療法」と、症状を和らげるための薬剤を使う「対症療法」があります。
インフルエンザウイルスは増殖のスピードが速いため、症状が出現して48時間以内にウイルスの増殖のピークがきます。このため、
48時間以内に服用しないとお薬の効果が現れにくくなります。ノイラミニダーゼ阻害薬(図1)は、ウイルスの増殖を抑えて感染の拡大を防ぐお薬なので、発症後できるだけ早く服用を開始することが重要でその為には、
早期検査と診断が必要です。
薬剤 | 服用方法 | 特徴 |
タミフル |
内服 × 5日間
(内服薬)
| 最もよく使用される薬剤。
小児にも飲み薬なので簡単に服用が可能。 |
リレンザ |
吸入:5日間
1日1回(吸入薬)
| 吸入薬なので、吸い方の上手下手で効果が変わるため、基本的に乳児には難しい |
イナビル |
吸入:初日に1回
(吸入薬)
| 初日に1回吸うだけで終了なのでリレンザより服用が簡単のため小児にも有用。ただし、吸入薬なのでやはり上手下手で効果が変わるので、乳児の服用には注意が必要 |
ラピアクタ |
点滴×通常1回だけ
重症例は反復投与も可
(点滴薬)
| 点滴剤なので内服ができない乳幼児にも有用で、消化管でなく血液に薬剤を投薬するため、即効性が高い。ただし点滴をする必要があるため、針を刺すので痛みが伴い看護師の手技の熟練度がポイント。
※ 点滴は時間がかかります。乳幼児の方でインフルエンザを疑った場合は平日は17:00までに受診協力をお願いします。 |
あゆみクリニックのインフルエンザ迅速検査機器について
上記載のようにインフルエンザの重症化を防ぐために、インフルエンザの治療には、
診断発症初期での迅速で正確な診断と投薬が求められています。現在、外来診療の現場で広く使用されている「イムノクロマト法による診断薬」は、検体と試薬の抗原抗体反応によって試薬上に現れる判定ラインを目視で確認し、陽性/陰性を判定します。短時間で判定結果が得られる一方で、発熱などの症状が現れてから
8時間以上を経過し、ウイルスが一定量に増えないと陽性判定が困難で目視による判定が求められるためヒューマンエラー(判定誤差)が生じやすいという問題点がありました。当院が導入した「高感度インフルエンザ迅速診断検査システム」右写真器具は銀塩増幅という写真の現像技術を応用した技術により判定ラインをよりはっきりと示すことができ、一般的なイムノクロマト法の診断薬と比較して
約100倍の高感度で熱発して6時間以内の発症初期のウィルス検出が可能となったため、
発症から3時間程度の早期のインフルエンザの診断も可能となり、「熱が出たばかりだから、検査をしてもまだ出ません。」という事例も少なくなり、さらに判定も機械が判定するのでヒューマンエラーを大幅に低減されました。これにより、発症初期などのウイルスが少ない状態における診断精度を大幅に向上し、正確な判定結果で投薬治療を行えます。
※ 乳幼児の治療は様々な処置・検査が必要です。平日は17時までに来院協力をお願いします。17時を過ぎると十分な医療をご提供できない場合がございます。
インフルエンザや高熱・激しい下痢や嘔吐
が原因で受診される患者さんへお願い
当院では、迅速な検査や点滴が出来る体制となっておりますが、時間帯によっては、時間の必要な点滴の処置ができない場合や入院先のご紹介先を探す事も難航する場合もあり、18時以後は、充分な医療を提供を出来ない事も想定されます。
よって
激しい下痢や嘔吐あるいわ高熱の方(
特に乳幼児)は、来院受付を
午前診療時間は11:30頃(火曜日は10:00)、
午後の診療時間帯は17:00分(土曜日休診)までに受付を終了頂きますようご来院のご協力をお願いします。
※ 特に連休中(GW・シルバーウィーク・年末・年始の診療日)は入院受け入れ先を探索できない場合がありますので、受診時間は16時までの受診をお願いいたします。