食物アレルギーとは?
食物アレルギーとは、本来カラダを守るべき免疫システムが過剰に働き、有害ではない特定の食物に反応し、じんま疹・湿疹などの皮膚症状、鼻水・咳・呼吸困難・喘鳴などの呼吸器症状、目や鼻の痒みや鼻づまりなどの粘膜症状、吐き気・嘔吐・腹痛・下痢などの消化器症状、血圧低下や意識障害などが生じる病気です。
食物アレルギーによる症状が1時間以内に出現し医療機関で治療を受けた患者さんの年齢別の内訳は、0歳児がもっとも多く全体の3割、3歳までで65%、8歳までで全体の8割を占めます。
年齢が上がるに従い患者数が減っていくのが特徴で、3歳までにおよそ5割、小学校就学までにおよそ9割の子で、原因になっていた食べ物を食べられるようになります。治療の原則は、明らかに原因となっている食物を避けることですが、乳幼児では、消化管機能が成熟するにつれて改善する場合が多く、子供の成長の過程で、食べ物を食べる制限ばかりでは、栄養学的にも様々な問題が発生したり、学校給食の時間など成長する過程でメンタリティー的な問題も発生したり、誤食により発生するショックが激しくなる場合がある等、様々なリスクも高く当院では、できるだけ食べられる食材が増えるよう経口減感作療法を取り入れています。またアナフィラキシーショックに対しては、エピペンを携帯することと、周囲の人にその使い方をよく理解してもらうことが大切ですが、当院の15年の千数百の治療から幸いにそのような大事に至った報告は幸いに受けたことがありません。
独立行政法人 環境再生保全機構 HPより
【検査】
当院では、受診日の当日血液を調べて、ある食物アレルゲンに対してIgE抗体でアレルギー感作が証明でき、実際にその食物を食べる事で症状が誘発されていれば、原因アレルゲンと診断することができます。
一方で、
ダニやスギなどの吸入性アレルゲンと比べて、食物アレルゲンでは、下記に記したように、IgE検査が陰性であることは必ずしも原因であることを否定する根拠にはなりません。日常の食事の時にメモをして、症状の出現と関連する食物を探ることが一番有効です。
IgE抗体検査と食事制限
ある食物のIgE抗体が高値でも食べても症状が出ない人もいます。逆にIgE抗体が低値でも食べると症状が出て食べられない人もいます。IgE数値のみでは食物アレルギーは診断できません。IgE抗体数値は、そのアレルゲンに感作されているかどうかをみるもので、症状が出るとは限らないのです。この値がどんなに高くても、食べて症状が無ければ、その食べ物は食べ続けても問題はなく、逆に盲目的に食事制限をする場合が問題です。あゆみクリニックでは、管理栄養士の資格を持った職員を配置し、栄養学的に正しい適正な食事指導を実施する体制を整えています。
食べた物や症状についてメモをして、問診時に正確に伝えて頂くと診察がスムーズです
何が原因で食物アレルギーが発病するかは年齢により様々ですが、ある程度は特定の食品に限られますので問診だけでもかなり予測することができます。普段から食べた物や症状について記録すると良いです。おすすめは「食物メモ」で、3度の食事とおやつに食べた物を、食材、調味料を含めてすべて記録。市販の加工品の場合は、食品表示のラベルを貼り付けておきましょう。
症状が出た場合は、
食後の経過時間や体調、環境なども記録しておきます。
問診や診察時に頂けると非常に治療に役に立つ情報
● 食べた物(食物日記→メモや写真程度でもOK)
● 症状(いつ、食べた後に、どのような症状がどのくらい続いたか)
● 環境(ペットの有無、室内or屋外飼いか)
● 母乳か、人工乳か
● 家族にアレルギーの人がいるか
● 他の病気の有無
● 飲んでいる薬(お薬手帳の持参でもOKです)
【治療方針】
あゆみクリニックの治療は、明らかに原因となっている食物を避けることですが、特に乳幼児では、消化管機能が成熟するにつれて軽快する場合が多く、成長に合わせ適正な除去や経口減感作療法を実施して食べられる食品を増やす方向で治療いたします。
目標として、小学生入学後の給食が始まる前に1品でも食べられるように進めています。
経口減感作療法
1)食物アレルギーがあっても、これまでに重篤な症状が出たことが無い食物の場合、
2)加工品や加熱したものであれば少しは食べても症状が出ない食物の場合、
これらの場合は出来るだけ不必要な除去を避けるという意味で、食べても大丈夫な量だけ食べさせます。極少量の食物抗原を摂取していくと、食物抗原に対して体が反応しなくなる「耐性」がついてきます。
月・水・金曜日診察時間帯で15:30分〜17:30頃が、比較的に他の感染症等の患者さんも少なく、医師・管理栄養士とのチーム医療により懇切・丁寧なわかりやすい指導を実施できますので、お勧めです。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーについて
原因となる食物(小麦等)を食べて、2時間前後に運動をしたときにのみ発症する食物アレルギーの特殊型です。
主に小学校高学年から存在し、中学生から成人にも見られます。学校で発症することが多く、給食後の昼休みの運動中や、体育の授業中に急にじんま疹が現れ、全身に拡大し、咳やぜんめいといった呼吸器症状を呈することもあります。
もし、この病気が疑われたり診断された場合は、原因食物を食べた後は3〜4時間は運動を控えることが重要です。